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「ハザードマップ」で備える不動産投資の災害リスク

2024/04/18 不動産投資

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近年、数十年に一度と言われるような自然災害が、毎年のように日本各地で起こっています。そこで注目されているのが、自然災害による被害範囲を予測して地図化した「ハザードマップ」です。

 

ここでは、災害により想定しうる不動産投資のリスクと、リスクに備えるためのポイントを紹介していきます。

水害によるマンション被害とは?

以下のハザードマップポータルサイトでは、住所を入力することでそのエリアのさまざまな災害リスクを調べることができます。

内水氾濫に関しては、「内水ハザードマップ」として各市区町村で作成公表されていますので、各市区町村のHPなどで確認しておきましょう。

 

ハザードマップポータルサイト

 

 


 

 

マンションの自然災害による被害といえば、2019年の台風による大雨浸水被害が記憶に新しいのではないでしょうか?

通常の住宅であれば、床下浸水や床上浸水で居住できなくなってしまうことが想像できるかと思いますが、水害によって生じるマンション被害は想定しにくいかもしれません。

以下は実際に起こったことのあるマンション水害例です。

 

 

・1階部分が浸水して、エントランスから外に出ることができなくなる

・地下の電気設備が浸水し、電気が使えなくなる

・エレベーターが利用できなくなる

・地下駐車場が浸水する

・浸水して家財に損害が出る

 

 

上の階に住んでいれば家具や家財に被害は出ませんが、電気系統に被害が及ぶと日常生活に大きな支障が出ることになってしまいます。また、1階のエントランス部分が浸水することでエレベーターが利用できなくなったり、半地下となっている場合は外に出られない可能性も出てきます。

 

これらは水害によって起こりうる被害ですが、近くに河川がないからといって水害が起こらない訳ではありません。事実、2019年に武蔵小杉で起こった浸水被害の原因は、河川の水位が上がり堤防から水が溢れて起こる洪水ではなく、下水道の処理能力を上回った豪雨を排水しきれず街中に溢れた「内水氾濫」でした。

近くに河川がなくても水害!? ハザードマップでの確認が必須な理由

ハザードマップには、洪水のほかに、土砂災害や津波による被害が予想される範囲や、道路防災情報などが載っています。住居のある地域周辺に河川や山がなかったとしても、「内水氾濫」が起こりうる場合や、災害があった際に通行止めとなる道路が近くにある場合があるため、油断せずに確認しておくべきでしょう。

 

 

実際に、水害ハザードマップと照らし合わせ、対象物件の位置を事前に説明することを義務付ける宅建業法施行規則の一部改正がなされました。(2020年8月28日より施行)

これにより、今後、居住者が入居先を選ぶ際の指標の1つとなることが考えられます。

 

続いて、水害対象エリアに物件がある場合、考えられる不動産投資のリスクを見ていきましょう。

水害対象エリアにある投資物件を選ぶ際の注意点

過去に液状化の起こった東京湾岸地域や、浸水被害にあった武蔵小杉近辺のマンション価格は、実はそれほど下落していません。一時的に危険であるとの風評によって、買い手が付きづらくなるということはあったかもしれませんが、都心へのアクセスの良さや生活利便性から需要がなくなるということはありませんでした。

 

ただし、マンションが受けた被害を元どおりにするためには、修繕金が必要となります。毎月積み立ててきた修繕金や管理費とは別に修繕金が必要となる可能性や、毎月の修繕金・管理費が値上がりする可能性は大いにあるでしょう。

特に、マンション浸水被害で一番怖い電気設備の故障は、修理費用が非常にかかる上に、浸水可能性の低い別の場所に移動させるのにもお金がかかります。

 

 

今後、物件がハザードマップの水害エリアにあることで、通常よりも低い価格で購入できる可能性も出てくるかもしれませんが、現状の修繕金や管理費の確認はもちろん、長期修繕計画や調査報告書も事前に確認しておく必要があるでしょう。

マンションの水害リスクを軽減させる方法

自然災害を完全に避けることはできませんが、不動産投資における災害リスクをある程度軽減させる方法はあります。以下に2つの方法を紹介していきます。

 

 

・ハザードマップと照らし合わせて、災害リスクの低いエリアの物件を選ぶ

ここまで解説してきたように、重要事項説明での説明義務も発生してくることから、災害リスクの高いエリア物件は、入居者から敬遠される可能性が出てきます。

また、実際に被害にあった際に突発的な修繕金が発生する可能性も高いため、災害リスクの高いエリアの物件は避けるべきだと考えるのが一般的でしょう。

 

しかし、都心の好立地な物件はリスクを上回る需要があるため、一概に不可であるとも言い切れないのが現実です。想定以上の被害を引き起こす、数年に一度や数十年に一度の災害リスクを避けるために、需要の高い優良物件を逃すのは誤った判断であるかもしれません。

 

 

・災害保険を活用して被害額を最小限にとどめる

一般的な火災保険には、水害が原因で建物や家財が損害を受けた場合の水災補償が入っています。支払い要件は以下のようになります。

 

・再調達価額の30%以上の損害を受けた場合

・床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合

 

 

マンションの1階部分でなければ浸水被害はないだろうと思われがちですが、立地によっては2階でも浸水可能性はあります。ハザードマップには、浸水想定最大規模の水深も公表されており、3mを超えているようであれば2階部分も浸水する可能性があるので確認しておきましょう。また、ベランダの排水能力が追いつかずベランダから浸水することもあるため、やはり油断は禁物です。

 

注意したいのは、水害による被害であっても地震が原因となる場合は火災保険では補償されないことです。地震保険単体では加入できないので、火災保険と合わせて加入を検討しておくといいかもしれません。

保険の補償範囲や補償金額は商品によって変わってきますので、しっかりと内容を確認して加入することをおすすめします。

まとめ

日本は国土の1割が洪水氾濫域であり、その地域に人口のおよそ半分が集中しています。人が住んでいる場所のほとんどが水害リスクにあると言っても過言ではありませんが、うまくリスクヘッジすることで被害を最小限に抑えることが可能です。

 

好立地であることと同時に、ハザードマップでのエリアの確認もできれば、物件の選定眼をより向上させることができるでしょう。

 

 

【筆者:ワイズアカデミー(株)】

2020.7.22掲載記事

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