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2025/01/19 税金
日本銀行が2024年3月、およそ17年ぶりに利上げに踏み切り、7月に政策金利を0.25%に引き上げました。合わせて変動金利の基準となる短期プライムレートの向上に合わせて、金融機関でも住宅ローンの金利の引き上げが行われるなど、住宅ローンを巡る状況は日々変化しています。世界の中央銀行が利上げを実施することで、住宅ローンの金利が上昇各国の経済状況やインフレ率によって影響の度合いが異なるため、国内外の金融政策を注視することも重要です。アメリカの利上げや利下げなど金利に関するニュースが日本の経済や株価に与える影響について解説します。
FRBとは「Federal Reserve Board」(連邦準備制度理事会)の略を指す、アメリカの中央銀行制度における最高意思決定機関です。
金融政策を策定・実施し、アメリカの経済の安定を目指す、日本においては日本銀行にあたる機関です。FRBは経済の状況に応じて利上げや利下げを行い、経済成長やインフレ率をコントロールします。
また、公開市場の操作を行い、国債やその他の証券の売買を行って銀行システム内の資金供給量を調整し、銀行やその他の金融機関の健全性を監督、金融システムの安定を確保しています。
FRBが金融政策の意思決定のために開く会合が「FOMC」(連邦公開市場委員会)です。
FOMCは年8回開催され、米国の雇用情勢を調査した経済指標である米国雇用統計などを踏まえて、景況判断や政策金利の利上げ・利下げの方針を決定します。FOMCで決定した内容は、アメリカの金融政策の方向性を判断する材料にもなるため、多くの投資家が注目しています。
中央銀行が設定する短期金利である政策金利は、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を与えます。
まず「利上げ」と「利下げ」についてご説明します。
【利上げ】
金利が上がることで、銀行間での貸し借りのコストが高まるため、資金の流動性が落ちます。新規の投資や借り入れが減少し、経済活動を抑制します。また預金の利息も増えるため、貯蓄を推進する効果もあります。一方で、企業の利益を圧迫し、株価を下落させる可能性があります。
【利下げ】
経済が停滞している際やデフレーション(物価の下落)が続く際に、金融緩和として行われます。金利が下がることで、貸し借りのコストが低がるため、資金の流動性は上がります。短期資金が調達しやすくなるため企業や個人の借り入れがしやすくなり、経済活動は活発化します。一方でインフレーション(物価の上昇)を引き起こすリスクもあります。また、預金の金利が下がるため、貯蓄の意欲が低下します。
利上げ・利下げによる影響はアメリカであっても、日本であっても同様です。FRBが利上げを行うことで、アメリカドルの価値が上昇し、国際的な資本の流れや為替相場に影響を及ぼします。その結果、国内にとどまらず、世界経済にも大きな影響を与えます。
また、金利を変動せずに現状維持することを据え置きといい、経済状況が安定している場合や利上げ・利下げによる影響を避けたい場合に見られます。
インフレ率や失業率が目標水準に近い場合に現行の金利を維持することで、過度な変動を避け、安定した経済成長をサポートします。一方で国際的な経済状況や地政学的なリスクが高まった際など、経済状況を慎重に見る必要がある場合にも据え置きをするケースもあります。
過去にFRBが行ってきた政策で主要なものを見てみましょう。
一つは2008年の金融危機です。アメリカで住宅バブルが崩壊して金融機関の不良債権が増加し、2008年9月にリーマン・ブラザーズが破綻して世界的な経済不況をもたらした「リーマン・ショック」。
2008年の金融危機では、FRBは景気の後退を緩和するために金利の大幅な引き下げを行いました。この金融危機をきっかけに、投資家は安全資産である日本円やユーロを買う動きが強くなり米ドルの為替レートが変更しました。また、アメリカが2008年から続いていた低金利を引き上げたのが2015年です。経済の回復とインフレの目標達成を理由に行われ、米ドルの上昇が期待されましたが、その後は下落。
2016年以降も金利引き上げが予想されていましたが、金利の引き上げは遅れ、経済の不確実性は高まりました。
ほかにも、2019年のCOVID-19パンデミックの際、FRBは金利を再び引き下げ、経済の安定を図りました。
アメリカの金利の動きは日本経済にも影響を与えます。
アメリカの金利が上昇すると資金がアメリカに流入し、円安・ドル高が進み、日本の輸出競争力が向上します。逆に、アメリカの金利が下がると、資金が日本に流入し円高・ドル安が進むため、日本の輸出競争力が低下します。
日本は食料品やエネルギー資源を輸入に頼っているため、利上げにより円安が進むと輸入品価格の高騰の影響を受けます。
また、株価においては、アメリカの株価と日本の株価は連携する傾向があり、アメリカで株価が上昇すると日本の株価も上昇し、アメリカでの株価が下落すると日本の株価も下落する傾向にあります。
日本銀行は、2024年3月18日、19日の金融政策決定会合において「マイナス金利政策の解除」と「政策金利の引き上げ」を決定しました。
短期金利と長期金利を低く抑えるための「長短金利操作(イールドカーブコントロール)」も撤廃されました。
7月には政策金利が0.25%に引き上げられ、住宅ローンも上昇しました。
今後、政策金利や長期金利がさらに上昇し、それに連動して住宅ローン金利が上がる可能性も考えられます。金融政策や短期プライムレート、10年国債利回りなどの動きを注視することも必要です。
アメリカの中央銀行であるFRBが政策金利を決定し、年に8回開催されるFORMは全世界から注目されています。
利上げ・利下げによる影響はアメリカも日本も同様であり、アメリカの金利政策により日本も少なからず影響を受けています。
2024年に入り、日本ではマイナス金利政策が解除され、今後は他国の金利政策についても情報を集め、対策を練る必要があります。
【著者:ワイズアカデミー(株)】
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