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2024年地価公示の最新情報を知る-全国的に上昇傾向

2024/09/08 不動産ニュース

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2024年3月26日、国土交通省は1月1日時点の価格を調査した「地価公示」を公表しました。2024年の地価公示は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇、その上昇率も拡大しています。東京・名古屋・大阪の三大都市圏はもちろん、地方圏も3年連続で上昇し、全国的に地価が伸びました。

地価公示・公示地価とは?

地価公示とは「地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示する」ことを指します。2024年は26,000地点で実施されました。

(出典:国土交通省ホームページ)

 

地価公示で公表された地価を「公示地価」といいます。公示地価は、土地のみの価値を示しており、建物がない状態の更地の状態を指すのが特徴です。景気や経済の動きを図る重要な指数として捉えられることもあります。

ここで発表された内容が不動産鑑定の規準となります。他にも、一般の土地の取引での指標となったり、土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となったりします。また、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準・指標にもなり、様々な場面で活用されます。

 

それでは、改めて今年の地価公示から、現在の日本の土地状況について見ていきましょう。

2024年公示地価は住宅地・商業地ともに3年連続で上昇

2024年の公示地価は、全用途平均・住宅地・商業地すべてが前年よりも上昇しました。3年連続の上昇となり、上昇率も拡大しています。

(出典:国土交通省ホームページ 令和6年地価公示の概要

 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001732032.pdf)

 

東京・名古屋・大阪の三大都市圏は全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇・上昇率も拡大しました。地方圏も同様の傾向が見られます。

表にある地方四市は札幌市・仙台市・広島市・福岡市を指しますが、これらの都市は11年連続で全用途平均・住宅地・商業地が上昇しています。全用途平均・商業地の上昇率は三大都市圏を上回っており、その勢いが感じられます。一方で、地方を中心に人口の減少などがある地域では引き続き地価の上昇は弱まっています。

全国の地価は、地域や用途により差がありますが、全体的に上昇基調を強めています。

 

 

 

(出典:国土交通省ホームページ 令和6年地価公示の概要

 都道府県別地価変動率(住宅地)/都道府県別地価変動率(商業地)

 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001732032.pdf)

 

続いて、2024年の地価公示の特徴を見ていきましょう。

・利便性に優れ、住みやすい住宅地の地価が上昇

再開発が進む都市中心部や交通網が広がる利便性に優れた地域では住宅地の地価向上は堅調です。全国の住宅地では、皆棟赤坂1丁目が昨年比104%の坪単価5,350,000円となりました。このほか、都内を中心に坪単価が前年比105~108%となるエリアが多く見られました。

都内中心部の地価が上がってしまったため、郊外に住まいを構える人も増えました。住宅地の地価上昇率ランキング、上位10位までを千葉が占めています。都心への利便性が良く、住みやすいエリアの地価が上がっています。

利便性のあるエリアとしては、栃木県宇都宮市での動きも顕著です。2023年8月に宇都宮駅と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ「宇都宮芳賀ライトレール」が開業し、交通利便性が向上したことから、住宅地を中心に高い上昇が見られました。

また、地方四市の周辺での地価上昇も見逃せません。地方からの人口流出は三大都市圏ではなく、地元から近く栄えている地方四市に多く見られます。鉄道・新幹線の開通エリアなど交通利便性のあるエリアに多くの人が集まり地価が上昇しています。

・国内外での人の流動が活発化 リゾート地への需要も高まる

2022年に新型コロナウイルス感染症による入国規制が緩和されたことで、日本にも海外観光客の姿が戻ってきました。インバウンドによる観光客が戻ってきた全国各地の観光地や、人の流れの多い繁華街では店舗の需要が増え、商業地の地価の回復が見られました。オフィスへの出社率も増え、人の動きが増えたことも地価上昇の要因です。大阪市中央区・道頓堀地区では地価が前年よりも25.3%上昇したエリアもありました。

また、外国人が足を運ぶリゾート地では、別荘やコンドミニアムなどの需要が高まり、地価の上昇につながっています。年間を通して観光を楽しめる北海道富良野市は全国の住宅地の中でも地価の上昇率が1位となりました。

・大手半導体メーカー工場

地方に目を向けてみると、大手半導体メーカーの工場が進出する地域の地価が上昇しました。 JASM(TSMC 子会社)の工場が建設される熊本県菊陽町の周辺地域は、2021年11月の工場建設発表以来、地価が上がり続けています。このエリア周辺には、従業員向けの住宅需要が増えました。工場ができることで、多くの関連企業などが進出し、合わせて事業所・ホテルなども拡大。住宅地・商業地・工業地ともに地価は高い上昇をみせました。

今後の日本地価

2024年の発表で、公示地価は3年連続の上昇となりました。新型コロナウイルスの感染拡大により、2021年に地価が下落したものの、経済が正常化していくなかで住宅地・商業地ともに回復しました。いまだ回復が及ばない地域はあるものの、全国的にほとんどの地点でコロナ前まで戻りきりました。地価公示の時点ではこの状況は今後も続くと想定されています。

 

一方で、日銀は2007年以来およそ17年ぶりに「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めました。全世界的に物価が上昇しているため各国ともに利上げへの転換が進んでいましたが、ようやく日本も足並みを揃えることとなりました。これにより、低い水準となっていた企業への貸し出し金利や住宅ローンの金利も上昇します。

 

過去も日銀は利上げを行うことがありましたが、2000年の利上げは2001年のITバブル、2006年、2007年の利上げはリーマンショックといったようにその後に景気が低迷し、政策の修正を行っています。今回の利上げは微々たるものですが、今後は土地の価格がどのような影響を与えるのか、また、次年度の公示地価がどのように変化していくのか注視が必要です。

 

【著者:ワイズアカデミー(株)】

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